いいんですか……本当に。
今日は大学2年生最後のテストを終え、部誌を取りに行き、2時間半のバイトを終えた。そして2時間半が経てばまた同じバイト先へ出勤する。
最初のシフトは就活でシフトに入れなくなった方の代わりだったからイレギュラーな勤務時間となった。
間の2時間半をどう過ごすか、今日の最大の楽しみであり悩みであった。
バイト先の先輩や友達にそのことを話したら、カレー屋さんや紅茶専門店という意見が出てきた。
じゃあ、どっちも行ってみる!
ということで行った。しかしカレー屋さんに辿り着く前に、通りかかったオムライス専門店に惹かれてしまい、結局そこに入った。
まずお店の構造が優しい。
広くないお店で、テーブル席が二つ。あとはカウンター席だった。テーブル席は既に埋まっていたのでカウンター席に促された。
明るい色の木材で出来たテーブル。そして荷物を入れる所が一人分ずつスペース分けされている……!
優しい〜!
さらに、お冷やとピクルスとオニオンコンソメスープがセルフサービスでいただけることにも感動した。
え、いいんですか……?
と思いつつもちゃっかりいただく。
美味しいです。これ、美味しいですよマスター、と口に出さずに味わい続ける。
そしてメインのオムライスがやってきた。
ふわとろ〜な卵にトマトソースとデミグラスソースが半分ずつかかったお料理。頼んだのは自分だしお金は既に払ったけど、やっぱり
いいんですか……本当に、こんなに至れり尽せりな幸せを享受してしまって……。
みたいなことを思ってしまうのだ。
マスターが作っている時、聞こえてくる音から香りからもう美味しい。
それをついにスプーンですくい取り、口に運ぶ。
まずはトマトソースのかかっている所から。
スプーンを入れると卵がとぅるんととろける様にスプーンを、いや私を誘い込む。
中に包まれていたのはケチャップで色づいたチキンライス!
こんにちは!チキンライス、君は美しい……!
じゃあ、もう、口に運ぶよ……?運んじゃうよ?
はぐっとアツアツオムライス。
どんな具材や調味料が入っているかは事細かくわからないが、とりあえず口の中が美味しさのハーモニーを奏でるオーケストラの公演会場となったのは確かだった。
もう、その後は一口食べても、二口食べても美味しいの言葉に尽きるオムライスを口に運び続けた。無くならないで、幸せ。でもそこに幸せがあると知ってしまったら、拒絶することなんて出来ないよ。それが私!
トマトソースのマッチングに感動していたけど、忘れてはいけない!デミグラスソースのぶぶん〜っ!
どんなお味かな〜っと口に入れたら、
嗚呼濃厚。全ての生き物に感謝。
トマトソースとデミグラスソースとで幸せ二倍ですな。感嘆。
と思っていたら、
え、ちょっと待ってこの、トマトソースとデミグラスソース、どっちもかかってる所を食べたら……。
ゴクリ、と心のよだれが垂れる。
いざ、参る。
おはようございます、ヘブン。
天にも登る気持ち。幸せです。
あっと言う間に平らげてしまった。
あまりの幸せに席に着いたままどこを見つめるでもなくぼーっとしてしまった。
あ、これが平和ボケってやつ⁉︎
と我に返った時に思った。違うかぁ。
お店を出る時に胸いっぱいの
ありがとうございました
の気持ちと一緒に軽く会釈しながら少し下のお腹あたりで手を合わせた。
「ご馳走さまでした」
マスターからはチーズが無料でトッピング、もしくはオムライス増量できるチケットをいただいたことだし、そうじゃなくても絶対に3月あたりにまた行こうと思う。
お金を払えば幸せは買える。
そう思うことは多々ある。確かにそうかもしれないけど、今の私はそうじゃないよ、と思う。
その幸せっていうのはたくさんの人の努力や優しさ、心づかいあってこそ成り立つもので、だからこそ心が芯からあったかになるんだ。その心のあったかは、お金で買うのではなくて、感謝して、気づいて、感じて、初めて幸せなのだと思う。というか、今日そう実感した。
紅茶専門店にも行って色々楽しかったことを書きたかったけれど、もう寝なくてはいけない時間なので、明日のバイトのオープンに備えてたくさんの幸せと一緒に眠ることにする。
おやすみなさい。